北海道日本ハムファイターズの新監督に新庄剛志氏が就任すると報じられてから早1ヶ月。
チームを巡る状況は一変しました。
2016年にリーグ優勝したのを最後にここ数年は下位を低迷。
今シーズンも最後ギリギリ西武ライオンズをかわして5位になりましたが、開幕からずっと低空飛行で「あぁこれは今年もダメだ」という感じでした。
中田翔選手の暴力事件や人種差別的な発言の動画などマイナスの要素が多すぎて、ファイターズの長年のファンである私の妻も今年は全然札幌ドームに行きませんでした。
かつては「育成のファイターズ」と言われていたのが今は見る影もなく、有望な若手も全然育たず、なんとなく来季も今季みたいな感じなのかな~と諦めムードというか重たい空気が流れていました。
しかし!
それが”BIGBOSS”新庄監督の就任により、クライマックスシリーズ中や日本シリーズ中でも新庄監督の言動が常に話題になるなど、一気に12球団の中で一番注目を浴びるようになりました。
新庄監督の現役時代と言えば、阪神在籍時の「敬遠サヨナラヒット」や、ファイターズ在籍時の「ドームの天井から登場」「被り物で登場」「オールスターでのホームスチール」などのド派手なパフォーマンスが印象的で、「そんな色物みたいな監督経験もない人が監督やって大丈夫なの?」という声も当初はあがりました。
しかし、現役時代そんなド派手なパフォーマンスの裏で、みんなが寝ている間に練習するなどむちゃくちゃ努力を重ねており、その経験に裏付けられた発言により「とてもまともなことを言っている!実はすごい監督になるのでは!?」と期待が高まっています。
これは来季、案外期待できるのでは!?というムードも漂っていますが、しかし、新庄監督は監督就任会見の際に「優勝は目指しません!」と断言しています。
彼のキャラクターであれば「来年、優勝しちゃいま~す!」ぐらい言っちゃいそうなので意外に感じた人もいるかもしれませんが、私は非常に冷静に期待値コントロールをしたのではないかと考えています。
前述の通り、今季はほぼ最下位に近い5位という成績で、若手もあまり結果を出せていません。
それが監督が変わっただけでいきなり優勝できるほどプロの世界は甘くありません。
でももし来季4位や3位になれれば、それだけでも大きな前進です。
それを「優勝を目指します!」とぶち上げてしまえば、「なんだ、優勝すると言ってたのに3位かよ!」という不満に繋がってしまいます。
それに選手にしても今年の成績を踏まえていきなり優勝を目指すと言われてもピンと来ないというか、非現実的な話となってしまいます。
そういう意味ではファンに対しても、選手に対しても「優勝を目指す」と言わなかったことはプラスに働いているのではないかと思います。
これはビジネスでも同じで、お客に選んで欲しいがためにあまりにも商品やサービスについて”盛って”説明してしまうとお客の期待値が必要以上に高くなってしまいます。
仮に期待値が12で、実際に商品・サービスを使っての満足度が10だとすると期待値に対して2低いので、それは不満に繋がります。
「いいにはいいけど、思っていたほどではないな」
となると、周りの人に口コミはしてくれないでしょうし、リピートもしてくれないでしょう。
下手をすると「ああやって宣伝しているけど、大したことないから買わない方がいいよ」とマイナスの口コミがされてしまうかもしれません。
数多くのライバルとの戦いで、自社の商品・サービスを選んで欲しい、買って欲しいという気持ちは分かりますが、相手に過度に期待させてしまうとかえってマイナスの結果になるというわけです。
期待値コントロールはしっかりと意識したいものですね。