先日『老後の資金がありません!』という映画を観ました。

天海祐希さん主演で、親の葬式、子供の派手婚、夫の失業、セレブ姑との同居などお金の災難に振り回される普通の主婦の奮闘を描いたお金のコメディ・エンターテイメントとなります。

天海祐希さんが素晴らしいコメディエンヌぶりを発揮し、とにかく笑えるコメディ映画だったのですが、その一方で色々と考えさせられました。

映画の冒頭では「人生100年時代のいま、老後の資金に最低でも2000万円は必要です」という話が出てきますが、天海祐希さん演じる主人公・後藤篤子は50を過ぎて貯金は700万円しかありません。

そんな中、上記のように親の葬式や子供の派手婚などでお金は出ていく一方。

さらに追い打ちをかけるように篤子もその夫も失業してしまいます(しかも夫は会社の倒産による失業なので当てにしていた退職金は0円)。

映画のある場面で篤子が「老後の資金がないんです!」と叫びますが、こんなにお金が無かったら老後生きていけないんじゃないか・・・と不安に思っている人も多いのではないかと思います。

そのへん、本作はフィクションなので希望を感じる終わり方となっていますが、現実世界はと言うと・・・。

さて、このブログは基本的に経営者に向けて書いているのですが、経営者の皆さんは老後の資金はどうしていますでしょうか?

会社の経営者は老後の資金を準備するのは目先の節税とリンクさせて考えるのが一番だと思います。

常々言っていますが、世の中の節税策のほとんどは「課税の繰り延べ」です。

つまり、今年の利益を将来に繰り延べすることで今年の税金が少なくなるわけですが、将来のどこかのタイミングで改めて利益となって戻ってくるのでそのタイミングで課税されます。

もしも今課税される税率と将来課税される税率が同じなのであれば正直節税策としては意味がありません。

しかし今課税される税率よりも将来課税される税率の方が低いのであればトータルして納める税金が減るわけですから意味のある節税となります。

代表的なものは退職金で、節税しつつ将来の退職金の準備をコツコツと行い、リタイアするときにまとめて退職金として受け取ればトータルの税金は少なくなりますので節税の意味がありますし、2000万円以上のまとまったお金を受け取れば「老後2000万円問題」も解決できます(税法上適正額の範囲内である必要はあります)。

ちなみに個人事業主の場合は退職金をもらうことはできませんが、小規模企業共済という制度を活用することで退職金をもらうことが可能です。

話は戻って『老後の資金がありません!』は主人公が53歳という設定ですので私よりももうちょっと上の世代の人にとってはより自分事に感じられる内容かと思いますが、退職金の準備を始めるのであれば50を過ぎてからではなく、もっと早いうちからにしておきたいものです。

50を過ぎてから「老後の資金がないんです!」と叫ぶことのないよう、早めに対策を取るようにしましょう。