9月12日放送の「がっちりマンデー!!」は「儲かる!最新乗り物2021」というテーマでした。
コロナ禍により人の移動が減少し、業界全体が苦戦している中、今年日本中で新たな儲かり乗り物が生まれているということでいくつかの事例が取り上げられていたのですが、中小零細企業でも参考になる事例があったので、ここでご紹介したいと思います。
まずはエアーエックスというお客さんをヘリコプターに乗せるビジネスを行っている会社。
ヘリコプターによる東京遊覧は20分で一人約25,000円が相場と結構お高いイメージがありますが、こちらの会社では一人1万円と半額以下の料金設定となっています。
その安さの秘密は昨今のヘリコプター事情の変化にあります。
一昔前はヘリコプターを所有している人は農薬散布や空撮などの仕事で稼いでいましたが、それらの仕事はドローンに取って代わられてしまいました。
それによりヘリコプターが稼働していない時間が増えてきているのです。
そこに目を付けたエアーエックス社は観光や移動のプランを作り、予約が入ったら空き時間のあるヘリコプター所有者に依頼するというビジネスモデルを構築したわけです。
ヘリコプター所有者も寝かせておくぐらいなら少しぐらい安い料金でも引き受けた方がいい、ということで格安料金を実現させがっちり稼いでいるという寸法です。
ここでの学びポイントはドローンという新技術の出現による影響、そしてそれに対して新たなビジネスモデルを当てはめることができないか、ということを考えた点です。
「今ドローンがきてる!」となると多くの人はドローンビジネスに注目すると思いますが、それによって影響を受けた側にアプローチするという逆張りの発想が素晴らしいですね。
もう一つの事例はフェリーを運行する瀬戸内海汽船です。
こちらの会社が運行しているフェリー「シーパセオ」は広島県広島市と愛媛県松山市を2時間40分で結ぶものですが、前年比でお客が1割増えています。
このシーパセオは非常にお洒落な船内で、綺麗でゆったりとくつろげる座席や靴を脱いでくつろげる小上がりスペースなどが人気となっていますが、実は数年前までは硬い座席、地味なカーペットフロアという「ザ・フェリー」というような内装でした。
それがそのように大変身したきっかけが広島と愛媛を結ぶ橋「しまなみ海道」の開通です。
マイカーでいつでも行ける手軽さと便利さがうけ、お客は徐々にしまなみ海道に流れていき、利用客は4割も減少してしまいます。
お客を取り戻すために値下げも決行しますが効果無し。
そこで、お客さんにフェリーの何がダメなのかを徹底取材したところこんな声が上がってきます。
「この椅子だと硬くて疲れる」
「カーペットに男性がいるとなんだか座りづらいし休めない」
つまり運賃や速さではなく居心地や快適さの不満によりフェリーが敬遠されているということが判明したのです。
ということでその不満を解消するべくつくられたのがシーパセオなのです。
それにより大幅に減ったお客も戻りつつあるわけですが、ここでのポイントは「素直にお客に聞いた」という点です。
お客さんが何を求めているのか、何に不満を感じているのかは想像してもなかなか分かりません。
最初会社側は「安い運賃を求めているのかな?」と考えたわけですがそうではなかったわけです。
素直にお客さんに聞いたことでどこを改善すれば良いか分かり、それによって売上があがったということですが、これは中小零細企業でもすぐに真似できます。
ということで、当事務所のクライアントで乗り物ビジネスをされている会社はないのですが、非常に良い学びとなりました。
最近テレビを見ないという人も増えているようですが、このような視点で見れば面白いと思いますよ。