前回「社員を不正から守れ!」というタイトルで、従業員が会社のお金に手を付けてしまい犯罪者になってしまうという悲しいことにならないためにもしっかりと不正防止対策を取りましょうというお話をしました(コチラ)。
例えば私が最初に就職した会計事務所では経理は3~4人が担当していたのですが、2~3年経ったら他の部署に異動になっていました。
これは経理だけでなく他の仕事も覚えてもらうというジョブローテーションの意味もあったのだと思うのですが、やはり不正防止の意味合いが強かったのではないかと思われます。
もしも何らかの不正を行っていたとしても、他人の目が入ればまず発覚しますからね。
※実際私が在職していた間に、経理で何か不正があったという話は聞いたことがありませんでした。
ただし、ニュースにならないものも含めて中小企業で不正行為が行われるケースの大半は、1人のベテラン経理だけがお金を扱っているというシチュエーションです。
社長もロクにチェックしないということになると完全にブラックボックス化して、お金を抜いても全く誰も気付かないということになります。
その状態で10年も経過すると累計で何千万円も着服されていた!なんてこともよくある話だったりします。
しかし、規模の小さな会社で、私が過去勤務していた会計事務所のようなローテーションシステムを導入するのは現実的ではありません。
経費は専属の人ひとりであり、かつ辞めない限りはずっとその人に担当してもらうということになるでしょう。
ではあとはその人が変な気を起こさない人であることを祈るしかないのか?というとそんなことはありません。
そういう場合は社長か社長のご家族が都度チェックしたり、最終決済者になることで不正を防ぐことができます。
要は一人のひとに任せてブラックボックス化するということをしないことです。
ここで、「いや、自分は経理の子を信頼しているから」とか言ってはいけません。
また、「なんで社長がそんなことしないといけないの?そういうことしなくても済むように経理雇ったんだけど」とか言ってもいけません。
経費担当者がお金を扱ったり、会社の通帳を扱ったりできたとしても、必ず背後で社長が目を光らせているということが大切なのです。
こういう抑止力があることによって変な気を起こさせないことに繋がりますし、また、例えば現金売上分で口座に入れるべきものをたまたま忘れていたという悪意があるわけでない経理のミスなどもすぐ気付くことが可能となります。
結局は社長が資金繰りという意味とはまた別の意味での「会社のお金」にどこまで関心を持ち、責任を持つかにかかっているということです。
もしも自社がそういう点で全然体制ができてない、杜撰だと感じているのであれば、我々税理士や、また場合によっては弁護士の力も借りて、不正が起きない仕組みを作るようにしましょう。