8月15日の北海道新聞朝刊に「『仕事にストレス』半数超」という興味深い記事が掲載されていました。
厚生労働省の労働安全衛生調査によると、従業員10人以上の事業所で働く人の54.2%が、仕事や職業生活による不安やストレスを感じているとのこと。
同紙の記事では「2年前から3.8ポイントの微減となったものの、依然として半数を超えており、業務負担の重さや厳しい職場環境が浮き彫りになった」とまとめられていましたが、特に経営者の皆さんはこの数字を見てどのように感じましたでしょうか?
「確かにうちの会社の従業員は結構ストレスを感じているだろうな」
「うちは結構伸び伸びと仕事ができる環境にしてあげているからほとんどストレスを感じていないハズ」
など感じ方や受け止め方は人それぞれかと思いますが、そもそも「仕事にストレスを感じること」は絶対的に悪いことなのでしょうか?
広辞苑では
「種々の外部刺激が負担として働くとき、心身に生ずる機能変化。ストレスの原因となる要素(ストレッサー)は寒暑・騒音・化学物質など物理化学的なもの、飢餓・感染・過労・睡眠不足など生物学的なもの、精神緊張・不安・恐怖・興奮など社会的なものなど多様である」
と定義されています。
さて、翻って厚生労働省の調査内容を見てみますと、ストレスの内容を複数回答で尋ねたところ以下のような内容だったようです。
1位 仕事の量や質 56.7%
2位 仕事の失敗や責任 35.0%
3位 セクハラ、パワハラを含む対人関係 27.0%
4位 会社の将来性 20.9%
5位 顧客や取引先からのクレーム 18.9%
6位 役割や地位の変化 17.7%
これは私の個人的な考えになりますが、仕事にはあっても良いストレスとない方が良いストレスとがあると思います。
上記の回答で言うと3位の「セクハラ、パワハラを含む対人関係」の、特に「セクハラ、パワハラ」の部分は職場にあってはなりません。
また、その人の能力を遥かに超える業務量というのは過重労働に繋がりかねないので、これも望ましくありません。
しかし、成長のためには適度なストレスも必要です。
今の能力よりもちょっとだけ多い業務量や、ちょっとだけ難しい業務。
今の役職よりも少し上の役職の業務など。
人間というのは基本的に現状維持を良しとする生き物ですので、今の能力に適した業務の量、質、役職であればプレッシャーも少なく、つまりあまりストレスも感じずに仕事をすることができます。
しかし、残念ながらそのような状態だと仕事人としての成長はほぼ望めません。
特に積極的に事業展開している企業なのであれば、従業員に成長してもらわないと組織としての成長ができません。
「いや、自分はストレスなく現状維持で仕事をしたいので」
という存在は社歴が長くなればなるほど「お荷物社員」となってしまうのです。
そもそも新入社員というのはまだ全然仕事ができませんし、先輩社員も知らない人だらけなので、会社にいるだけでめちゃくちゃストレスフルだと言えます。
それを会社側が上手に少しずつ仕事を覚えさせていくことによって、それが適度なストレスとなり、どんどん成長して一人前になっていきます。
逆に全然仕事を教えようとしない、仕事は盗め、それで失敗したら何やってんだ給料ドロボウ!と罵倒するなんてことをすれば過度なストレスとなり、辞めていくことでしょう。
ぶっちゃけ私が新卒で入社した会計事務所では常に結構なストレスを感じていましたが、でもそのおかげで短期間で成長できたなと感じています。
もしも逆に過保護にされていたら今の自分はいなかったのではないかと思います。
今回の厚生労働省の調査でストレスがあると回答した人がどれぐらいのレベルなのかは分かりません。
もしかすると過労が常態化するような業務量なのかもしれませんし、セクハラやパワハラに悩んでいるのかもしれません。
しかし、そうでないのであれば単純に「ストレス=悪」と捉えるのではなく、「成長のために適度なストレスは必要」と前向きに捉えて欲しいなと思います。