税理士のお仕事シリーズ、今回取り上げるのは「記帳代行」、つまり領収書などの会計ソフトの入力作業のアウトソーシングサービスです。

特にスモールビジネスを行っている方にとって面倒かつ憂鬱な作業として会計ソフトの入力が挙げられます。

Facebookをやっていると毎年確定申告期限ギリギリで「うわ~、領収書の入力が終わらない!確定申告間に合わない!」という悲鳴にも似た叫び声をよく目にします。

基本的に我々の業界にいる人はそういう細かい事務作業が苦でないので、お金を払ってお願いしてしまうというのも一つの手かと思います。

ただ、近年クラウド会計の進化が目覚ましく、それまでは取引を1件1件会計ソフトに手で入力するのが当たり前だったのが、銀行取引やカード取引の明細を取り込むことができるようになり、作業は劇的に楽になりました。

なので、そういったテクノロジーの活用というのも検討してみてはいかがでしょうか?

もしもそのようご自身で入力するという場合、我々にとって一番モヤモヤするのが「自分で入力すると言っているけどなかなか入力が進まない」という状況です。

お客様の入力が進まないと試算表も作れませんし、利益が出ているのか出ていないのか分かりません。

当然納税額の予測もできませんし、節税対策が必要なのかどうかも全く判断できません。

「節税や経営のアドバイスをして欲しい」と言われても、そのベースとなる会計データが無いとアドバイスしようがありませんからね。

ですので、自分でやろうと思ったけど忙しくて時間が取れないとか、やっぱり事務作業が苦手なのでどうしても後回しになってしまうということでしたら無理に自分でやろうとせず税理士にお願いするようにしましょう。

最初のうちは税理士にお任せして、事業が軌道に乗り、経理担当の社員を採用する余裕ができたらそのタイミングで内製化を図るというのも一つの選択肢です。

ちなみに記帳代行という業務自体は別に税理士の独占業務ではなく、誰でもできることです。

実際に記帳代行の会社も沢山ありますし、個人で請け負っている人もいます。

この時に注意すべきは怪しい記帳代行業者に引っかからないことです。

昔税理士事務所で働いていて、今はフリーで記帳代行業をやっていますという人もいるようですが、中には申告書の作成までする輩もいるとか。

申告書の作成は税理士の独占業務となりますのでこの時点で税理士法違反でアウトです。

また、もしも税務調査に入られることになった場合、その人は税理士ではないので当然立ち会うことができません。

なので、絶対にそのような人に依頼しないでください。

別のパターンで申告書の作成までを行い、あとはそれにサインしてくれる税理士が別にいるというものもありますが、これもいわゆる「名義貸し」ということで税理士法違反となりアウトです。

毎年これで懲戒処分を受ける税理士が一定数いますし、税理士会からも「名義貸し情報があったら知らせてください」というお達しも定期的にあったりしますので、なかなか無くならない問題なのでしょうね。

最後に整理しますと、会計ソフトへの入力作業についてもしも自分でできるのであれば自分でやりましょう。

自分でやるのが難しいのであれば顧問税理士又はちゃんとした記帳代行会社にアウトソーシングしましょう。

そしてくれぐれも税理士法違反の怪しい記帳代行業者にお願いしないようにしましょう!