過去3回に渡って「税理士が全然アドバイスをしてくれない」という問題の解決方法について論じてみました。
ここでそもそもの話になるのですが、税理士のお仕事って何なんでしょうか?
つまり企業や個人事業主が税理士と顧問契約を結ぶことでどういうサービスを受けられるのか、という話です。
実は私自身、なにせ新卒でこの業界に入っており、全く何も知らないところから実際に担当を持たせていただき、お客様とやり取りしたり、事務所の先輩に仕事を教えてもらったりしながら自分のスタイルを確立したという経緯がありますので、「税理士の仕事はこういうものでしょ」という感覚的なものになっている部分があります。
特にこれから起業するという方は、税理士との顧問契約を検討されると思いますが、顧問契約をすることで何をしてくれるのか?というのは明確にしておきたいところでしょう。
ということで、私ももう業界経験20年になるところで今更感はありますが、この機会に税理士のお仕事についてまとめてみたいと思います。
まず、ご存知の通り税理士というのは国家資格であり、この資格を持っている税理士にしかできない「独占業務」なるものがあります。
①税務の代理
お客様に変わって申告書や届出書の提出を行うことができます。
また、税務調査が入った際に立ち会うことができます。
②税務書類の作成
申告書や届出書など税務署に提出する税務書類を作成します。
③税務相談
税金に関する相談を受け、助言することができます。
以上3つが税理士にしかできない独占業務であり、税理士以外の人が行うと罰せられることとなります。
普通顧問契約をしていて、「書類は作成するけど提出はしないので自分で税務署に提出してください」とか「こちらで書類は作成しないけど代理人として税務署に提出はしてあげます」という税理士はいませんので、基本的には①と②は当然に行われるものと思われます。
③については例えばFP(ファイナンシャルプランナー)とか保険の営業マンなど業務上、お客さんから税金に関する相談を受けることもあるでしょうからその判断は微妙になりますが、一応法律上は税金に関する相談は税理士にしか認められていないということになります。
また、これらの業務を行うにあたって大前提となる、そもそもの税理士に求められる役割が税理士法の第1条に規定されています。
「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」
この規定には
「税理士はちゃんと法令に則った適正な申告をしないといけませんよ」という意味と、
「納税義務者(つまりクライアント)は税金の専門家として節税も期待しているのだから、その期待に応えないといけませんよ」という意味が込められています。
ということで、具体的な税理士のお仕事について論じる前段として、そもそもの税理士に求められている役割と、税理士だけに認められている独占業務について整理しました。
次回、このことを踏まえて具体的に税理士のお仕事について論じてみたいと思います。