確定申告業務も終盤戦に突入し、全国の税理士事務所ではそろそろ終わりを見据えた動きになっているのではないかと思います。
私も現時点で8割方終了し、残り僅かという状況です。
春は近い、という感じですね。
さて、個人事業の方の申告業務も数多く手掛けたのですが、その中で気になったことがあります。
それはコロナの影響により様々な経費が減ったということです。
それまで出張が多く旅費交通費が多額になっていた方は出張が激減したことに伴い旅費交通費が減少。
車であちこち移動していた方がオンライン対応などで移動が減ったことに伴い車両費が減少。
こういうのはなかなか興味深いデータと言えます。
そんな中でも特に興味深い項目が接待交際費、もっと言うと飲食代の激減です。
コロナにより会食の機会が激減し、飲食代、すなわち接待交際費が前年対比で大きく減少しているクライアントが非常に多いです。
ちなみに私も、そんなにむちゃくちゃ飲むわけでないですし、しかもお姉さんがいるようなお店にも全く行かないので、そもそも支出額自体がそんなに多くないということはありますが、2020年の接待交際費は前年対比70%減となりました。
それはクライアントも同様の傾向となります。
そして、実は私のクライアントの多くがコロナの中でもあまり売上を落としていません。
私のクライントには飲食店などの実店舗を運営する業態の方が少ないので、実はそこまでコロナによる外出自粛の影響を受けていないんですね。
さて、そう考えると売上と接待交際費の関係が気になります。
接待交際費というのは原則的な考えとして売上に繋がる経費となります。
「接待」というのは「官官接待」とか「官民接待」という文脈で使われるので、何かいけないことのように思う人もいるかもしれませんが、民間企業が自社の大事な取引先を接待することで「まぁまぁ、これからもひとつご贔屓にお願いします」と関係性を築き売上に結びつけるというのは昔から行われていたことであり、別に違法でもなんでもありません。
翻って昨年のクライアントを見ると接待交際費は激減しているけど売上はさほど減少していないという事実があります。
あれ、ということはそもそも飲食しても実はそんなに売上に貢献していなかった??
という実に不都合な事実(?)が浮かび上がってきます。
もちろん、一緒に食事をしたからといってすぐに仕事に繋がるわけでなく、そこで関係性を築くことによって、将来どこかのタイミングで「あのとき仲良くなった○○さんに仕事をお願いしよう」という形で仕事に繋がるということもあるでしょう。
なので、私も殊更「交際費としての飲食は不要だ」なんてことを言うつもりはありません。
ただ、費用対効果ということは常に意識して欲しいと思います。
もしも広告を出したのに全く反応がなかったら嫌じゃないですか?
でも、交際費については支払いという投資に対して美味しい食事を楽しんだというリターンを得ているのでそこで満足してしまう傾向にあります。
つい先日「飲み会を断らない女」を自認して炎上した方がいましたが、民間であればそれで仕事に繋がるのであればそれはそれでOKだと思いますが、散々飲んだけど結局仕事に繋がらないのであれば会社の経費として考えると無駄金と言えます。
特に飲むのが大好きな経営者であれば、毎晩のように飲み歩いて接待交際費を多額に計上した挙げ句、「うちの会社はお金がないからそんなに給与を払えない」なんて言ってたら社員から総スカンをくらいますよ。
ということで、おそらくこの1年、飲む機会はコロナ前に比べて激減したと思いますが、そのことが売上にどう影響しているのかをしっかりと分析して、コロナ前のように気軽に飲みに行ける環境になった際にも同じように飲みに行くのかどうかを考えてみてはいかがでしょうか?
ちなみにこんなことを言うと飲食業界の方からお叱りを受けそうなので、飲むのが好きなのであれば会社のお金ではなくプライベートで好きなだけ行けば良いと思いますよ、とフォローしたいと思います。