イタリアンファミレスの最大手であるサイゼリアが値上げをしたということで話題となりました。

サイゼリアは人気メニューのミラノ風ドリアが税込み299円というあり得ないぐらいの低料金で、まさに「庶民の味方」とも言える存在ですが、昨年の消費税増税に加えコロナ禍による影響で7月に価格改定をすることとなり、「やはりあのサイゼリアでも値上げやむなしか・・・」と思った人も多いのではないでしょうか?

しかし実際には先ほどのミラノ風ドリアが299円から300円へ1円値上がりするなどの小幅な値上がりでした。

さて、このことを某ニュース番組が取り上げていたのですが、その際に

「これってもしかして便乗値上げでは?」

というナレーションが入ったのを聞いて違和感を覚えました。

「元々ありえないぐらい安い価格設定だったのを1円値上げしただけで便乗値上げって言われちゃうの?というかそもそも便乗値上げって何?」

ということでグーグル先生に聞いてみたところ、こう定義されていました。

「やむを得ない理由に便乗して、それ以上の値上げを行うこと。特に、増税や原料費上昇などのために商品・サービスを値上げする際、その差額以上の値をつけること」

なるほど。

例えばそれまで利益100円を出すために1,000円で販売していれば良かったのが、原料費の高騰によって同じ利益100円を出すためには1,200円に値上げしなければならないというやむを得ない理由に便乗して1,500円に値上げしちゃうと差額300円分が便乗値上げということになるわけです。

これってなんとなく納得できる話のようで、でもおかしな話です。

なぜならば価格をいくらに設定するかは原則として売り手の自由だからです。

サイゼリヤもミラノ風ドリアを400円に設定したっていいところを299円にしていただけです。

別にコロナ禍や消費税増税、原料費の高騰などの理由がなくても、

「この商品今まで1,000円で売ってきたけど、本当なら1,500円の価値があるよな。よし、明日から1,500円に値上げしよう」

としたっていいわけです。

あとはそれを消費者側が納得するかどうかです。

納得すれば値上げしても買うし、納得しなければ買わなくなるだけ。

なので、ほとんどの企業は値上げしたところで「便乗値上げ」なんて言われる筋合いはないのです。

ただ消費者にとって困るのは例えば携帯電話料金みたいにあまり選択肢がない商品・サービスの便乗値上げです。

「じゃあ他社に移るよ」と簡単に言えないですからね。

また、コロナ禍の中、一時期マスクが品薄になり、それに乗じて結構高い値段で販売したお店がありました。

これも別に違法ではないのですが、ただ消費者に「あの店はマスクが無くてみんなが困っているのにつけ込んで値上げした。もうあんな店では買い物しない」と思われるリスクもありますので、あまり良い手法とは言えないでしょう。

ということで、中小零細企業は基本的に便乗値上げなんて関係なく値上げしたいと思えば値上げしたってOK。

それだけの価値があれば引き続き売れるし、価値がなければ売れなくなるだけです。

ただし、人が困っているのにつけ込んで値上げするとお客さんが離れる可能性が高いので要注意。

中小零細企業こそ、常に品質を高める努力を行い、しっかりと値上げしていきましょう。