コロナに関連する各種申請手続きのオンラインシステムが残念な感じだというところからスタートして、オンライン化・デジタル化の推進によって我々専門家の立ち位置・役割がどう変わっていくのかという点について考察してきました。
結局行き着く先は「経営者の参謀役」ということになるのではないでしょうか?
「コンサルタント」という言い方もできますが、コンサルタントだとちょっと曖昧な感じがするのでここは敢えて「参謀役」と表現したいと思います(寄りそうコンサルタントグループと名乗っていることは棚に上げます)。
AIやRPAにより業務の自動化、効率化が図られ、また、様々な情報やデータも簡単に手に入るようになるであろう近未来において、求められるのはその情報やデータをどう料理し、経営に生かしていくのかという部分です。
今年2月に亡くなられた野村克也さんはヤクルトの監督時代に「ID野球」というデータ重視の野球を掲げてリーグ優勝、日本一を果たしました。
では他の球団が全然データの収集や分析をしていなかったかと言うとそんなことはありません。
多くのスコアラーを派遣し、大量のデータを入手して徹底的に分析していました。
ではなぜ、野村監督はそんな中でもチームを勝利に導くことができたのでしょうか?
それは、その膨大なデータ分析の中から、試合に勝つためのポイントを抽出し、そのポイントをそれぞれの選手の個性に合わせて分かりやすく伝えるということを行ったからです。
つまり、単にデータを収集し、分析するだけでは宝の持ち腐れで、それを落とし込む作業が重要なのです。
今回は法律の専門家の話しですので、様々な法律や判例などのデータを収集し、分析した上で「このラインなら税務リスクが少ないです」とアドバイスをしたり、経営データから「このタイミングでキャッシュが不足するので金融機関に相談しましょう」といったアドバイスをするといったことがデータを具体的に活用するという意味になるかと思います。
しかし、本来このような役割というのはずっと前から経営者から求められていました。
顧問税理士に対する不満のトップ3に入る定番項目が「なにもアドバイスをしてくれない」というものです。
しかしずっとこの業界にいる身としては、そのアドバイスに辿り着く前にやらなければならないことが非常に多いという税理士側の事情もよく分かります。
過去に勤務していた税理士事務所で担当させていただいていたお客様で、記帳代行、つまりこちらが変わりに会計データの入力を行う先も数多くあったのですが、場合によっては領収書や請求書などが整理されていないぐちゃぐちゃの状態で渡されて、この入力作業だけで何時間もかかるということがありました。
こういう状況で、かつ、「顧問料はなるべく安く」となってしまうと、頑張って分析してアドバイスをして・・・とやっていると大赤字になってしまいます。
また、「俺は数字が苦手だから」と試算表の見方も覚えようとしないのであれば、表現は何ですが、どんなに経営指標に関するアドバイスをしても「猫に小判」となってしまいます。
ということは参謀役、良きアドバイザーとなるためには、そこに至るまでの作業をいかに効率化するかということと、経営者に経営指標や最低限の法律(税務、労務、企業法務など)の知識を身に付けていただく必要があるということになります。
と、ここまで壮大なフリになってしまいましたが、今後当事務所ではこの2点について注力していこうと考えています。
事務所自体が未来においても選ばれる事務所になるため、というのももちろんありますが、経営者にもっと学んでいただく環境を整えることで、今回のコロナショックのようなことがあっても生き残っていける強い会社作りに貢献するためという想いがあるからです。
現在色々とネタを仕入れているところです。
リリースできるようになったタイミングで取り上げていきたいと思います。