前回、今後オンライン化が進んでいく中で、ちょっとした手続き程度であれば専門家に頼まなくても自分で簡単に申告できるようになっていくのではないかと書きました。
これは私の願望も含んだ未来予想とはなりますが、医療費控除や住宅ローン控除などの手続きについてはわざわざネットであれこれ調べなくても簡単にできるような仕組みになって欲しいと本当に思います。
※それにしても日本の政治家、というか官僚は税制を複雑にするのが大好きで、年末調整一つとっても生命保険料控除や配偶者控除などはもはや社員の方々が自分で記載できるレベルではありません。本当に何とかして欲しいところです。
ところで、私も度々引用していますが、2014年にオックスフォード大学のAI研究者であるマイケル・A・オズボーン准教授が「雇用の未来-コンピュータ化によって仕事は失われるのか」という論文を発表しました。
この論文には近い将来、AIの普及によって多くの職業がなくなっていくという未来予測が示されており、その筆頭格が我々税理士の仕事となります。
では、本当に我々の仕事はAIに奪われてしまうのでしょうか?
答えはイエスでもありノーでもあると言えます。
AIの強みはディープランニングによるパターン認識です。
会計処理というのはまさにパターン化された作業ですので、AIの得意分野となります。
また相続税の申告の際に例えば被相続人名義の預金口座の過去の取引で不自然な点がないかどうかをチェックするというのもAIの得意分野となります。
さらに、やや難易度の高い税法解釈において類似する判例等を検索するというシチュエーションでもAIの強みが発揮されます。
しかし、最終判断を下すのはやはり人間です。
AIは情報を収集したり整理したり、場合によっては「こういう可能性が高いですよ」という提示までもしてくれるようになるかもしれませんが、決断・決定まではできません。
なので、将来的にはAIのサポートを受けながら最終判断を我々税理士が下すという役割分担になるのではないでしょうか。
つい先日、ZOZO創業者の前澤友作さんの資産管理会社で、同社が所有するプライベートジェットを前澤さんが私的な目的で使った際の利用料が少なかったということで修正申告をしたというニュースがありました。
これも将来的にはAIが「過去の判例などから勘案すると今の料金設定は低すぎます。妥当額は◯◯円です」と教えてくれるようになるかもしれません。
そう考えると、近い将来にはAIやRPAを実装していない税理士はそうでない税理士と比べてスペックが低すぎるということで選ばれなくなってしまうかもしれません。
税務顧問の相談があった際に、
「ところでこちらの事務所では当然にAIやRPAを導入されていますよね?」
「いえ、うちはそんなものに頼らなくても確かな技術と知識と経験がありますので、お任せください!」
「・・・(え!?今どきAIやRPAを導入していないなんてヤバすぎだろ!他を探そう!)」
なんてことになるのはそんなに遠くない未来かもしれませんよ。