前回、今後のオンライン化の推進とそれに伴う我々法律家の役割・立ち位置がどう変化するのかという点について語ってみました。
今回はそれをもう少し深堀りしてみたいと思います。
前回、我が国において今後の行政手続きのオンライン化については
第一段階 現状紙で提出しているものをオンラインでできるという意味でのオンライン化
第二段階 制度や申請方法をシンプルにした上でのオンライン化
という形でステップアップするのではないかと書きました。
現状では特に税務申告は主要な税金に関しては電子申告ができるようになっているため第一段階にいると言えます。
ただし、我が国は税法が複雑なため、ほとんどの申告は専門家に依頼して行うこととなります。
この状態が続いている間は、なんだかんだ言って「代行業」としての仕事は無くならないと思います。
まぁしかし、この第一段階だと、いくら「行政手続きのオンライン化」「電子政府」と言ったところで一般市民としてのメリットが全くありません。
「コンビニで住民票を取得できます」レベルのメリットしかないのであれば、行政手続きがオンライン化された意味がありません。
少なくとも
・専門家にお願いせず自分でできる手続きだけど現状役所に行かないとできない手続き(転居届け等)
・医療費控除や住宅ローン控除などのちょっとした税務申告手続き
ぐらいは簡単に自宅でオンラインでできるぐらいにはして欲しいところです。
そうすれば、「それは仕事としてお引き受けしてもいいんだけど報酬をいただくのも忍びないしな~」ということもなくなります。
もしもそのような動きがあるのであれば、その延長線上で第二段階に進む可能性は高まります。
医療費控除や住宅ローン控除だけでなくもっと確定申告を気軽にできるように税法をもっとシンプルにしよう!ということになれば、自力でできる人も増えそうです。
もちろんそれでも自力で行うのが難しいという方もいるでしょうし、PCの操作が難しい高齢者等もいるでしょうから、そこは我々専門家がサポートするということになります。
ただ、そんなに専門知識を駆使するというレベルではなく、補助作業という程度であれば、単価はグッと下がるでしょう。
なので、この領域でやっていくという専門家は食べていけないということはないでしょうが、それでもちょっと厳しいでしょう。
となると、今後我々専門家が勝負する領域で、かつ、一般市民(という表現も何ですが専門家に依頼する側の人という意味です)がお金をかけてでも専門家に依頼する領域というのがポイントとなってきます。
それはどんな領域なのか?
次回考えてみたいと思います。