コロナウィルス対策で様々な給付金や助成金が創設されましたが、申請システムが色々と問題になっています。

持続化給付金は基本的にオンライン申請のみ。そして受付開始日には申込みが殺到し、繋がらないという事態に。

※なお自治体は限られますが、「申請サポート会場」が開設されています。

国民全員が10万円を受給することができる特別定額給付金はオンライン申請ができるようになっています。

しかし、

・マイナンバーカードが必要となるが、今から発行手続きをしても発行されるまで時間がかかる

・マイナンバーカードの暗証番号を忘れた人が役所の窓口に殺到しており密の状態になっている

・マイナンバーカードがあってオンライン申請をしようとしても操作方法が分かりづらくて途中で断念する人が多い

という点と、仮にオンライン申請をしたとしても世帯主以外の人が申請したり、世帯主名義の口座以外の情報を入力したりと不備が多すぎるという点から、

オンライン申請の受付を停止した自治体や、「オンライン申請よりも郵送で申請した方が早く受給できますよ」と郵送申請を推奨する自治体も出てきました。

さらに雇用調整助成金ですが、当初郵送のみの対応となっていたのが、オンライン申請もできるようになりました。

しかし、オンライン申請受付開始初日に個人情報が閲覧できるようになるという重大な不具合が発生し、現段階ではまだ復旧していません。

 

・・・ということで、今回オンライン申請や今まであまり活用されていなかったマイナンバーカードを利用する行政手続きを推進しようとしたものの結果としてはかなりボロボロな状態です。

また、基本的にオンライン申請のみである持続化給付金については、PCやスマホなどを全く使えない高齢の経営者からは「私たちにインターネットで何かやれと言われても無理。高齢者は申請を諦めて、会社を畳めということなのか!」といった声も上がっています。

 

で、私は何もボロボロな行政を批判したいわけでもなく、困っている高齢者に対して「文句を言うな!」と言いたいわけでもありません。

今の状況は我が国にとって、行政手続きなどのオンライン化が広まるかどうかの結構重要なターニングポイントではないかと感じています。

オンライン化が話題にのぼると必ず出てくるのが「PCを使えない高齢者はどうするんだ!」という声です。

しかし、すでに高齢化社会となっている我が国において「PCを使えない高齢者を配慮してオンライン化はやめよう」と言っていたら、いつまで経ってもオンライン化は進まず相変わらず紙文化のままとなってしまいます。

 

先ほど各種オンライン手続きがボロボロの状況だと書きましたが、これらが何の不具合もなくスムーズに行えるのであれば、やはりオンライン申請は便利です。

税金の電子申告のシステムはもう10年以上も前から運用されていますが、不具合が生じることはほぼなく、この便利さを知ってしまったら、以前のように紙で郵送したり税務署に持参していた頃には戻れません。

 

「やっぱりオンライン化する方が便利なんだからこれを機会に一気にオンライン化を進めようよ!」となるのか、

「オンラインは不具合も多いし、高齢者などのIT弱者が困ってしまうからオンライン化は反対!」となるのか。

 

コロナウィルスで大変なこととなっていますが、「大変」というのは「大きく変わるタイミング」とも言えます。

ここでオンライン化や今までイマイチ活用されていなかったマイナンバーカードの活用を推進すれば、結構一気に話は進むのではないかと思います。

逆にここで推進を躊躇ってしまえば、今後のオンライン化はこれまで同様遅々たる歩みとなってしまうでしょう。

 

さて、今回の話は割りと大きな話であり、オンライン化が進むかどうかなんて私がコントロールできる話ではありません。

今回このことを話題にあげたのは、今後の展開によって我々法律家の役割・立ち位置が変わってくると予想しているからです。

では、我々にどう影響を与えるのか?

それは次回語ろうと思います。