緊急事態宣言が延長され、あわせて各自治体の休業要請期間も延長となっています。
「5月7日からは営業再開できる」と考えていた経営者にとってはかなり厳しい状況かと思います。
さて、このコロナショックにより倒産・廃業する会社が増えてきました。
帝国データバンクが公表している情報によると5月8日時点での「新型コロナウィルス関連倒産」は全国で125社(うち法的整理79件、事業停止46件)。
業種別では旅館・ホテル33件、飲食店12件、アパレル・雑貨小売11件が上位を占めています。
さらに都道府県別では東京都が27件で一番となっていますが、ここ北海道も14件で二番目となっています。
近年インバウンドも含めた観光業に力を入れてきたため、観光客が激減した影響をモロに受けた形となります。
さらに北海道は全国に先駆けて緊急事態宣言を発出した地域であり、現在第2波が発生しているということで一番長期間コロナの影響を受けているのが経済の面でも現れていると言えるデータです。
おそらく帝国データバンクが把握していない小規模なお店の廃業件数はかなりの数になるでしょうし、残念ながら今後も増えていくと予想されます。
当事務所は「日本の廃業率を0%に」というミッションを掲げているのですが、このような状況になっても
「歯をくいしばってなにがなんでも廃業しないで頑張りましょう!」
と言うつもりはありません。
もちろんコロナ関連の融資制度もありますので、融資を受けてキャッシュを確保することで事業を継続するという選択肢もあります。
しかし、
・もともとコロナウィルスがなくても事業としてかなり厳しかった
・コロナウィルスが終息して事業を再開してもきちんと回していける絵が描けない
ということであれば、ここは勇気ある撤退、すなわち廃業するというのも一つの選択肢かと思います。
コロナウィルスに関係なく、うまくいっていない、又はうまくいかない可能性が高いビジネスを無理やり続けてもかえって周囲にかける迷惑が大きくなってしまいます。
チャレンジすることは尊いことですが、親族・友人から借りたお金が返せない、従業員に給与が払えない、取引先に支払いができない、という状態になって「やっぱり無理でした」となるのは尊いことでしょうか?
我が国において一度ビジネスで失敗すると再チャレンジするのがちょっと難しいという面はありますが、しかし不可能なわけではありません。
でも、周りに散々迷惑をかけて失敗した場合、再チャレンジするときにその周りの人たちは今度は助けてくれないでしょう。
「三十六計逃げるに如かず」という言葉もあるように撤退も立派な戦略です。
もちろん撤退せずにこのまま行けるのか、それともここで撤退しておいた方が良いのかの判断は難しいところでしょう。
しかしここは冷静に、そして経営者の参謀役である我々税理士にも相談して熟考していただきたいと思います。