今回のタイトルは売れ筋を狙ったビジネス書のタイトルっぽい感じではありますが、結構大事なお話しです。
今の時代、終身雇用は保証されていませんし、会社も簡単に作れるようになりましたので、脱サラをして起業する人が増えています。
私自身はサラリーマン(会計事務所職員)を辞めて独立した身ではありますし、そもそもそうやって起業する方の支援をする専門家でもあります。
しかも、自己啓発系の本も読みますし、セミナーも数多く受講しています。
なので「起業大歓迎!自己実現のためにもみんな起業しようよ!」というスタンスなのかと言いますと、実はそうではありません。
セミナーで今はサラリーマンだけど感化されて「起業する!」と盛り上がる人をたまに見かけます。
しかし多くの場合、「ちょっと待ちなさい」と思ってしまいます。
・そもそも今の職場で圧倒的なパフォーマンスを発揮できていない(辞めると言っても全く慰留されない)
・何を自己実現するのか全然決まっていない(何のために起業するのか目的が曖昧)
・営業が苦手、嫌い(売上の作り方が分からない)
こういう人はまず間違いなく起業しても失敗します。
自己啓発本や自己啓発セミナーなんかで「会社組織の歯車として生きていくのは愚かなこと。起業して経済的自由を手に入れよう」というメッセージに感化されて、「そうだ!起業しなきゃ!」というマインドになってしまうというケースもあるようですが、この「サラリーマン=愚か」という考え方ってどうなんでしょうか。
例えば飲食店。
多くの飲食店では料理を作る人やホールスタッフなど複数の人の力が必要となります。
そして、これらの方は基本的にサラリーマンです(正社員かアルバイトかは問わず)。
もしも「サラリーマン=愚か」「みんな独立起業するべき」ということになると、全ての飲食店はオーナー一人が切り盛りする小さな飲食店のみとなってしまいます。
そうなると当然キャパシティも限られますし、単価も高くなりますし、パッと行ってパッと食べるなんてこともできなくなるでしょう。
これは別に飲食店だけの話しじゃなく、どんな業界にも当てはまる話しとなります。
要は会社組織というのは個人一人の力では実現できないことを、色んな人が集まってレバレッジをかけて実現することができる場であり、雇われる人=サラリーマンの存在が必要不可欠なのです。
なので、サラリーマンであることは決して悪いことでもなんでもありません。
煽られて焦って起業する必要はありません。
自分が所属している組織の理念・ビジョンに共感しているのであれば、それを実現するためにどうやって貢献できるのかを考えてパフォーマンスを発揮すれば良いのです。
もし、どうしても自分にはやりたいことがあって、しかもそれは自分で起業しなければ実現できないということなのであれば、その時に本格的に起業について考えれば良いのではないでしょうか。