神社を参拝した日に祭祀が執り行われていたり、神前結婚式が執り行われたりしていると流れてくる雅(みやび)な調べを耳にしたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

これは「雅楽(ががく)」と呼ばれるものですが、今回はこの雅楽について掘り下げてみたいと思います。

我が国では上代から神楽歌・大和歌・久米歌などがあり、これに伴う簡素な舞もありましたが、5世紀頃から古代アジア大陸諸国の音楽と舞が仏教文化の渡来と前後して中国や朝鮮半島から日本に伝わってきました。

雅楽は,これらが融合してできた芸術で,ほぼ10世紀に完成し,皇室の保護の下に伝承されて来たものです。

笙(しょう)と呼ばれる管楽器、さまざまな種類の笛に太鼓、琵琶や琴などが組み合わさって演奏される荘重さをして、「世界最古のオーケストラ」と呼ばれているそうです。

平安時代に入ると、雅楽は一部で神楽と融合し、舞の伴奏を務めるようにもなりましたし、神社だけではなく寺院においても盛んに演奏されるようになりました。

戦国時代に一時衰退はしましたが、明治時代に宮内庁式部職楽部が創設され雅楽を伝承しています。

昭和30年,宮内庁楽部の楽師(がくし)が演奏する雅楽は,国の重要無形文化財に指定され,楽部楽師は重要無形文化財保持者に認定されました。

さらに,宮内庁楽部の演奏する雅楽は,平成21年,ユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載決議がなされています。

では、現在神社で演奏される雅楽事情はどうかと言うと、実は案外神職以外の人が演奏していたりします。

なにせ上記のように非常に伝統のある音楽ではあるものの、普段あまり馴染みがありません。

ピアノやギターを気軽に学べる音楽教室はあっても笙や琵琶を気軽に学べる音楽教室はあまりありません。

そこで多くの神社では雅楽文化を次世代に継承していくべく雅楽会を設けています。

例えば北海道神宮では定期的に神社庁から講師を招いて雅楽講習会を開いています。

他の様々な神社でもこのような講習会などにより雅楽の奏者を育成しています。

こうやって雅楽を演奏することができるようになれば、神職でなくても雅楽奏者として神様にご奉仕することができるかもしれません。

まぁしかし、たまに音楽番組などで雅楽が取り上げられているのを見ますが、楽譜は五線譜じゃないですし、リズム感も普段慣れ親しんでいる音楽とは全く異なります。

演奏できるようになるのは結構大変だと思いますが、しかしマスターできれば神様にご奉仕できるだけでなく、我が国の伝統ある文化の継承者にもなれると考えるとやってみる価値があると言えます。