約15年前に『国家の品格』が大ベストセラーとなった藤原正彦先生の最新刊である『国家と教養』。

こちらもかなり売れているということで読んでみました。

さて、そもそもですが「教養」って何でしょう?そして「教養」って必要なんでしょうか?

とりあえずのイメージとして「古典文学や哲学、クラシック音楽などに精通している」みたいな感じなのかな?と。

実は私もこういうことを学ぶのは嫌いじゃない、というかむしろ好きなぐらいなのですが、じゃあこういった教養を身につけることができたとしてそれがどれぐらい役に立つのかという話なわけです。

それこそその道の学者になるなら別として、そうでないのであればどちらかというとそれこそ「趣味・教養」というカテゴリーに入ってしまうので、そこにそんなに時間を割いてもなぁ…というのが本書を読む前のイメージです。

それが本書を読んでどんな気付き・学びがあったのかをシェアしたいと思います。

①教養は無限にある雑多な情報の中から自分にとって必要なもの、最も本質的なものを選択するための物差しである

藤原先生は世の中にある情報の99.9999999%は自分にとって無価値・無駄なものと言っています。でも我々はそんな無限とも言える情報の中から自分にとって必要なものをピックアップしています。

これを可能にしているのが「嗅覚」です。

その嗅覚を培うのが教養とそこから生まれる見識となります。

確かに教養がないとテレビでもインターネットでもついついどうでもいい情報に時間を取られてしまいます。

どうでもいい情報に時間を取られないようにするためには、目的目標を明確にした上でそこに集中することが大事ですが、付け加えるならフィルターとしての教養も必要になるのかなと感じた次第です。

②西洋の古典よりも日本の大衆文化

ついつい教養と聞くと西洋の古典文学や哲学などを想像してしまうのですが、藤原先生はそうではなく、日本の大衆文化(歌舞伎や能などの伝統芸能から漫画、アニメまで幅広く)を体験したり学ぶことによって日本人本来の情緒が育まれるとおっしゃっています。

※これは日本の大衆文化が他の国の文化よりも優れていて、他の国の文化は学ぶ価値が無いという意味ではなく、日本人にとってルーツとなる日本の大衆文化を学ぶ方がよほど生きた教養になるという意味になります

私も数年前から「日本人なんだから日本の歴史や神話を知らないのは恥ずかしい」と思い神社や日本の神話などを学ぶようになりましたが、この方向は間違っておらず、さらに歌舞伎や能などの伝統芸能についてもしっかりと学んでいきたいと思います。

③読書が大事

教養を構成するものは基本的には実体験です。やはり「百聞は一見にしかず」です。

とは言え体験できることは限られます。それを補完できる一番良い手段が読書です。

そう、やはり読書は教養を身につけ、判断軸や大局観を養うのに必要不可欠なのです。そしてこれらは結局ビジネスにおいても重要なもののわけですから、一見するとビジネスとは全然関係ないような大衆文化に触れることは回り回ってビジネスにも影響をもたらすことになります。

もちろん「歌舞伎や能を鑑賞するのに手いっぱいで仕事が後回しになる」ということでは本末転倒ですから、しっかりと時間管理をしつつ、教養を育みたいと思った次第です。

 

ということで、非常に気づきの多い本となりますので、みなさんも読んでみてはいかがでしょうか?