このブログでは過去何度も「価格設定の大切さ」について言及してきました。
医療や福祉の診療報酬など自分で勝手に決められないという例外を除き、基本的に自社の商品・サービスをいくらで販売するかという決定権は自社にあります。
つまり自由ということですが、逆に自由と言われると悩んでしまうもの。
で、やりがちなのが「相場よりも安く設定してお得感を出す」というものです。
これ、その価格設定に何らかの戦略的意図があるのであればそれでいいのですが、「相場価格かそれ以上の価格だと選んでもらえないからとりあえずそれよりも安く」という安易なものであれば、その瞬間から血みどろの価格競争に足を踏み入れることになります。
しかもそうやって安く設定したのに買ってもらえないと、「価格のせい」にしてさらに値下げしてしまいます。
根拠なき値下げは、値下げしたぶん利益も減りますので、仮に売れたとしても忙しいわりには手元にお金が残らない「バタバタ貧乏」になってしまいます。
「そんなこと言ったって大手企業はどんどん値下げしているけど”過去最高益”とか言ってるじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、それはしっかりと根拠のある値下げをしているからです。
「じゃあ、どうやって価格設定をすればいいの?」
そんな方にとって参考になるのが『なんで、その価格で売れちゃうの?』です。
著者は『100円のコーラを1000円で売る方法』シリーズでお馴染みの永井孝尚さん。
値下げしたのに儲かり、値上げしたのに爆売れするカラクリを行動経済学とマーケティング理論で解き明かした非常に分かりやすく読みやすい1冊です。
「松竹梅理論」や「無料(フリー)ビジネス」などマーケティングを学ばれている方にとっては当たり前の内容かもしれませんが、今までそのようなことを学ばずに何となくで価格設定をしているという方には是非とも読んで欲しいと思います。
価格設定のキモは「値ごろ感」。
そして値ごろ感には4つの段階があります。
1.安すぎて怪しい→だから買わない
2.安いけど、いい商品→だから買う
3.高いけど、さすがだ→だから買う
4.高すぎて買えない→だから買えない
当然狙うは2か3となります。
ただ2というのはそれこそ「お、ねだん以上」ニトリのようにスケールメリットを発揮できる会社じゃないと厳しいところですから、やはり中小零細企業は3を目指したいところ。
私ももちろん3を目指しています。
あとは「税理士報酬」という土俵に乗ってしまうと単価がどんどん下がっている業界で3といってもそんなに高く設定できなくなってしまうので、いかに税理士報酬と比較されないようにするかも大事なポイントですね。
と言っている私自身が税理士業界一筋の人間で、「税理士報酬はこんなもの」というパラダイムを持っていますので、自分自身がパラダイムシフトをする必要がありますが。
いずれにせよ、お客様にも満足いただき、私も適正な利益をあげることができる価格設定について真剣に考えていきたいと思います。
みなさんの価格設定は大丈夫ですか?