私は服屋さんでも家電量販店でもお店に入った瞬間「何かお探しですか?」と店員さんにマンツーマン接客されるのがたまらなく苦手です。
だいたいこういう店員さんはこちらがちょっと何か商品を手にすると「そちらは非常に人気のある商品ですよ」とか「そちらと似た商品でさらに人気の商品がありますよ」とか、頼んでもいないのにどんどん話し掛けてきて、かつ、どんどん商品をプレゼンしてくる傾向にあるので、「いや~!もう無理~!」となって、逃げるようにお店を後にしてしまいます。
本当は何か買おうと思っていたとしても・・・。
結局この手の店員さんは「営業とは押しである」という信念を持っているように思われますが、買い手の立場になるとこんなにグイグイ来られると嫌になります。
なんでしょう、「北風と太陽」における北風的、ビュービュー風を送っちゃうぞ!的発想とでも言いますか。
そうではなく太陽的に、その人が気持ちよく買い物ができるように暖かく見守るスタイルって取れないのでしょうか?
それを学んだのが、ビジネスバンクグループが主催する「プレジデントアカデミー」で学ぶ経営の12分野の一つ「サイレントセールス」です。
”セールスとは情報提供業であり、購入支援業である”
”お客さんは①信頼させてほしい②適切な情報が欲しい③そっと背中を押して欲しい、と思っている”
ということで、例えば②の「適切な情報が欲しい」ということで言えば、「そちらは非常に人気のある商品ですよ」というのも確かに情報なのですが、重要なのが「タイミング」。
そりゃあ、商品を手に取るたびに「それは・・・」「それよりも・・・」みたいに声を掛けられたら商品に触れなくなるってものです。
と、言って全く構われないのも困りもの。
これはあくまでも私の考え方ですが、「どんな商品があるかな~」と物色している時点では全く構って欲しくありません。
近くに立たれるだけでもかなりの圧力になるので、帰りたくなります。
しかし、ある程度商品を物色して、「なんとなくこれが良さそうだな」となった段階で、すぐ買う、ということもありますが、「デザインは気に入っているんだけどもうちょっと丈が短い商品は無いかな?」とか「これ耐久性はどうなっているんだろう?」とか店員さんに確認したいということもよくあります。
その時に「え~と、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」という雰囲気を出し、それを察知して「なにかありましたか?」とサッと来てくれる店員さんはめちゃくちゃ優秀!と勝手に評価しています。
逆に、最初からいきなり「何かお探しですか~?」と声掛けしてくるタイプの店員さんに限って、こちらが声掛けして欲しい雰囲気を出しても全然気づかなかったりします。
まぁ、面倒臭い客とは思いますが(笑)、でも、多くの人がそんな感じなのではないでしょうか?
さらに、疑問点も解消し、いよいよ購入!という段になっても悩む場合があります。
例えば家電製品だったりすると「もっといい商品があるのではないか」とか「すぐに新製品が出るんだったらもうちょっと待った方がいいのでは」とか買わない言い訳が脳内で始まったりするわけです。
あと、私は全く無いのですが、「これを買って帰ったら奥さんにゴチャゴチャ言われるかな」と躊躇う人も中にはいることでしょう。
ここで③の「そっと背中を押して欲しい」、つまり買うための言い訳をできるようにフォローするのもサイレントセールスの重要ポイントです。
「他にも高機能な商品はありますが、お客様が求めている機能を考えるとそちらの商品がベストだと思いますよ」とか「こちらの商品は奥様も〇〇という点で便利になりますので、買われると喜ばれると思いますよ」とか言ってもらえると確かに買いやすくなりますよね。
こういう話は営業職の人にしてみたら当たり前の話なのかもしれませんが、私みたいに営業の専門職についたことの無い人間にとっては目から鱗なわけです。
ちなみに「サイレントセールス」とは「黙る・沈黙する」という意味ではなく、ノイジー(うるさい)ではないという意味です。
全く何もしないで買ってくれたらそんなに楽な話はないですが、そう上手い話はないってことですね。