昨年『関ジャム 完全燃SHOW』という番組にゲスト出演した西野カナの作詞法がネットで話題になりました。
彼女の曲は特に歌詞が「これは私のことを歌った曲だわ!」と女性が共感できるものです。
どうすれば、そんなに世の女性が共感するような歌詞を作ることができるのか?
それが番組で赤裸々に語られたわけですが、その手法はなんと「アンケート」。
例えば最も支持されている「トリセツ」という曲の作詞に際しては、「あなたの特徴やクセは何ですか?」「あなたのこんなことができます、こんなことで役に立てますというものは何ですか?」「どんなときに機嫌が悪くなりますか?」といった項目で周りの女性にアンケートを取り、回答として多かったものを歌詞にしていくことによって、共感力が高まるわけです。
で、ネットで話題になったというのにはネガティブなものも含まれます。
いわく「本人の体験じゃないのか」「アーティストなら自分の伝えたいことを詞にするべき」「ウケを狙った産業音楽だ」といったもの。
まず、私自身は別に彼女のファンでもないし、全然曲を聴きたいとも思っていないのですが、しかし、こういった批判の声は的外れと言わざるをえません。
むしろ「めちゃくちゃマーケティングセンスのある人なんだ」と感心したぐらいです。
そう、事前にアンケートを取ってマーケットが求めている製品(曲)を提供するという意味ではめちゃくちゃマーケティング能力が高いのです。
よくいう「プロダクトアウト」と「マーケットイン」で言えばこれはまさに「マーケットイン」。
極端なことを言えば「みんな、共感できる曲を求めているんだよね?この曲はそれを徹底的にリサーチした曲できっと共感できると思うから、はいどうぞ!」という感じ。
「ウケを狙った産業音楽だ」という批判がありますが、そんなの当たり前でしょう。ビジネスでやってるんですから。
あの小室哲哉もミリオンを連発していた全盛期には、まずはプロトタイプをクラブで流し、そこでの反応を見ながら「売れる曲」に昇華させたそうが、そうやって売れる曲を作ることは大事ですよね。売れなければレコード会社から契約を切られてしまいますから。
これは当然に、音楽業界だけの話ではなく、一般的なビジネスの現場でも大事な考え方です。
先程の「プロダクトアウト」とは要は「作り手がいいと思うものを作る」というもので、「マーケットイン」は西野カナのように「顧客が望むものを作る」というものです。
単純にプロダクトアウトがダメという話ではありませんが、しかし、モノが溢れる供給過多時代にそう簡単にはこの手法ではモノは売れません。
やはりマーケットの声を聞き、求めているモノを作るのが支持を集め、売上を生み出すセオリーだということを西野カナに学びました。
というタイミングで活動休止宣言をされましたが、復帰してどんな曲を発表するのか楽しみにしたいと思います。