2018年は「企業支援」と「相続支援」についてさらに力を入れて取り組んでいく年にしたいと考えている、と前回書きました。
そのうち「企業支援」については過去多くの経営者が夢破れて会社を畳んでいった姿を見て、「学びの力で日本の廃業率を0%にし、社長も社員も幸せに成功する会社作りに貢献します」という企業理念を持つようになったといういきさつがあります。
さて、ではもう一つの柱である「相続支援」についてはどういう理念を持って取り組んでいるのでしょうか?
「相続マーケットが拡大しているから?」
もちろん、それもあります。
高齢化が進んでいますし、相続税の基礎控除額が下がったことによって相続税の申告件数は増えています。
ビジネスチャンスと捉えて税理士だけではなく、多くの士業や不動産業者、生命保険の営業マンなどが「今は相続マーケットが熱い!」とばかりにぞくぞくと参入しています。
ただ、当然ながらこれは理念ではありません。
企業支援の理念に掲げている「幸せな成功」の中には相続のことも当然に含まれます。
せっかくビジネスで成功して財を成したのに、全く相続対策をしなかったので亡くなった後に、遺族間で激しい争いが勃発した、ということになっては「幸せな成功」とは言えません。
「幸せな成功」にコミットするのであれば、相続支援もそこに内包されると考えています。
しかし、そういったこととは全く異なる観点で、相続支援に対する想いというものがあります。
独立直後、まだクライアントが少なく暇を持て余していたため税理士会が開催する無料相談会の相談員に積極的にエントリーしました。
これは1人概ね30分程度の持ち時間で、一般的な回答をするというものになるのですが、日によっては相談者が行列をなしてトイレに行く暇もないぐらいの、「リアル行列のできる法律相談所」となったりするようなものです。
ここで相談員として何十人もの相談に対応したのですが、相談内容は9割方が相続税や贈与税、土地や建物を譲渡した際の譲渡所得税といったいわゆる「資産税」と呼ばれるカテゴリーのものでした。
何か事業をされていて顧問税理士がいればその税理士に相談できるのでしょうが、普段全く税理士と接点の無いような人がこういったような税金について誰かに相談しようと思っても困ってしまいます。
そこで、無料相談会の存在を知って来た、という人が大半でした。
相談に来る方の大半は結構事前に色々と調べてこられます。
中には「国税庁のホームページに○○と書いてあったからうちは大丈夫だよね?」という方もいらっしゃいます。
しかし、残念なことに多くの方が誤った解釈・認識をしています。
また、ネット上の情報は玉石混交。中には「間違った情報」も紛れていたりします。
資産税というのは税金の中でも非常に複雑な分野で、我々税理士でもあまり得意でないという人や「相続税の申告はしたことがない」という人も沢山います。
それを全くの税金の素人がちょっと調べた程度で正しく理解する方が逆に難しいと言えるでしょう。
そんな中で、こういうことがありました。
相談者は80代ぐらいの女性。
不動産を売却したが税金がかかるのか、申告の必要があるのか教えて欲しいという相談でした。
持参された資料を確認して電卓を叩くとどうやら税金は発生しないし、申告の必要もないようでしたのでその旨を伝えたところ、ボロボロと涙を流されたのです。
どうやらそれまで税金のことを含めた行政手続きのたぐいは旦那さんが全て行っていたそうですが、旦那さんが亡くなってしまい、自分でやらないといけないけど、今まで旦那さんに任せっきりだったので、どうしたらいいのか全く分からない。
でも、申告しないといけないものはちゃんと申告しないといけないし、申告しなかったら脱税として国に厳しく罰せられてしまうから不安で仕方が無い。
そんな不安でどうしたらいいのか分からないという状態が、専門家に相談し「大丈夫です」と言われての安堵の涙だったのです。
その涙を見て、
「あぁ、世の中には全く税金のことが分からないで困っている人が、特に資産税の分野で沢山いるんだなぁ。我々税理士にとってそういう人をサポートしてあげることも大事な使命の一つだな。」
と改めて感じたのです。
なので、私はこの相談員の経験を通じて
「税金の全くの素人が資産税というかなり特殊な税金のことで困った時に相談できる税理士でありたい」
と思うに至ったのです。
もちろんボランティアとしてではありませんので適正な対価はいただきますが、これも一つの社会貢献だと捉えています。
そう思っていたところに、昨年2017年には一般社団法人不動産相続支援協会を立ち上げた芳賀代表理事から「もし可能であれば協会活動に参画して欲しい」というオファーをいただきました。
協会が目指している方向も正に同じもの。
喜んでお引き受けしました。
また協会の他のメンバーも全てアチーブメント社の『頂点への道』講座を受講しており、私と同じように確固とした信念を持っているプロフェッショナル揃いです(ちなみに全国に250名程度しかいないベーシックプロスピーカーがこの協会メンバーの中に私も含めて3名もいます)。
理念を共有したプロフェッショナルがチームを組んで相続支援を行う、という独立した時におぼろげに思い浮かべていたものが形となりました。
あとは今年それをさらに推進していくのみです。
2018年、相続支援にさらに力を入れていきますので、よろしくお願い致します。
↑一般社団法人不動産相続支援協会のメンバー