3月5日放送の「けいナビ~応援!どさんこ経済~」では「北海道・白い恋人 石屋製菓が幹部刷新 若手を起用!」というテーマで、石屋製菓の社内改革を取り上げていました。

「白い恋人」でお馴染みの石屋製菓は1947年創業。

4代目の石水創社長は現在39歳の若きリーダーで、様々な取り組みをされています。

その中のひとつが昨年新たに始めた、小樽商科大学のビジネススクールと連携した経営学に関する研修です。

その目的は経営幹部の一新で、研修に参加するのは主に30代~40代の幹部候補です。

マーケティングや経営戦略などの講義をオンラインで受講し、最終的に社長面談によって10人ほどを新たな経営幹部に選出。

これにより今まで部長の平均年齢は54歳だったのが、今回の再編の結果平均年齢44歳と大幅な若返りを図ることとなりました。

ということなのですが、今回の組織改革の目的は「若返り」というわけではありません。

それは「白い恋人」に代わる新たな柱の創出です。

石屋製菓と言えば「白い恋人」、「白い恋人」と言えば北海道を代表する定番の”お土産”となります。

私は道外のセミナーなどに参加する際に手土産として白い恋人を持っていくことがあるのですが、やはり抜群の知名度なのでとても喜んでもらえます。

で、その際に「やっぱり北海道の人は白い恋人をよく食べるんですか?」と聞かれることがあるのですが、答えは「いや、滅多に食べません」となります。

基本的に贈答用のお菓子を自分で買う機会はあまりありませんし、道民同士で手土産を持っていくときには同じく北海道を代表する「六花亭」とか「柳月」のお菓子を用意することの方が多いです。

例えば法事で親戚が集まる機会にちょっとした手土産を準備する、というシチュエーションで「白い恋人」を選択する人はほぼいなくて、やはり「六花亭」「柳月」辺りが選ばれると思います。

これは別に道民が「白い恋人」が嫌いなわけではなく、なんとなくイメージとして

「北海道に旅行に来た人が買っていくもの」

「北海道民が道外の人に手土産として買うもの」

という位置づけになっているからだと思います。

おそらく北海道以外の地域にも「観光のお土産と言えばコレ!」という超定番のものだけど、地元の人はわざわざ買わないというものはあるかと思いますが、「白い恋人」もそんな存在なのです。

そんなことでコロナ前は190億円あった売上は、コロナによる観光客の激減により半減してしまったそうです。

売上全体に占める「白い恋人」の割合は約7割ということで、特定の商品・サービスに依存してしまうと変化の影響をモロに受けてしまいます。

番組内では「あの事件」とちょっとボカした表現をしていましたが、過去「賞味期限改ざん」という不祥事を起こしながらも、その後真摯に対応することで信頼を回復しました。

道民にとって「白い恋人」は普段そんなに食べるわけではないけど、でも「当たり前に存在し続けて欲しいお菓子」と言えます。

若いリーダーが改革を推進すると反対の声が上がるのは世の常と言えますが、おそらく「このままでは会社の未来はない」という相当な危機感を抱えてのことだと思います。

今回の改革により、「白い恋人」に続く定番商品が開発されることを願うと共に、贈答用だけでなく道民も普段気軽に食べられるような商品も開発して欲しいなと思います。