B to Bのビジネスを行っている中小企業では特定の取引先の売上割合が高くなる傾向があります。

その究極形が取引先が1社のみという「1社依存体制」です。

よく自動車メーカーなどの下請け業者などでこのような体制が見られますが、これは非常に危険な状態です。

なにせ売上が完全に1社に依存しているので、その1社が倒産したり、取引を打ち切られるとたちまちのうちに売上が0になってしまうからです。

私が以前勤務していた事務所にもこのような形態のお客様が結構いました。

「大手企業から安定的に仕事を回してもらえる話になっているから大丈夫」という感じで、実際に安定的に仕事を回してもらえると売上も資金繰りも安定しますし、そうすると納税計画も立てやすくなります。

しかし、そこに安心して他の取引先を開拓しないでいると、その仕事の供給元である会社が倒産したり、またはリーマン・ショックなどの緊急事態の際に「すまないけど、もう仕事回せないから」と急に取引を打ち切られてしまい、一気に倒産の危機を迎えることになってしまいます。

 

また、先程から「仕事を回す」という表現をしていますが、1社依存体制ですとどうしても「仕事を回してやっている」「仕事を回してもらっている」という上下関係になりやすくなります。

そうすると支払サイトを伸ばされたり、値下げ圧力をかけられたりしても、それを断ると仕事が無くなってしまうので、飲まざるを得なくなってしまいます。

これは「半沢直樹シリーズ」などで有名な池井戸潤さんの小説でもしょっちゅう描かれるシチュエーションですね。

 

1社依存体制だと「All or Nothing」になってしまいますので、取引先を増やして売上割合を分散させ、仮に1社との取引がダメになっても致命傷にならない体制にシフトする必要があります。

その判断基準は「その会社との取引が無くなっても事業を継続できるかどうか」となります。

 

このことは廃業・倒産理由の上位にあがってくるある意味定番とも言えることで、多くの同業者の方がブログなどで発信して注意喚起・啓蒙活動をされているのですが、残念ながらなかなか伝わっていないというか、軽く見られていることとなります。

 

しかし、以前にもご紹介した通り「創業10年後の生存率6.4%」なのです。

あなたの会社の売上を100%構成するその取引先はいつ倒産してしまうか分からないのです。

そして今の時代、大手企業だからといって全く安心できません。

大手企業でも簡単に潰れてしまう時代なのです。

 

もしも現状1社依存体制又はそれに近い状態だという方がいらっしゃれば、この機会に取引先を増やして売上を分散し、リスクを軽減させることを検討してみませんか?