昨日のブログでは「組織と自己責任の関係」というテーマで、「自己責任を一定量、認めた方が組織にとって有益だ」という為末大さんの意見を取り上げました。

とは言え、自分が経営者の立場だとして、自分が考えた戦略や計画に対し、社員が従わず、自己責任で行動したときに素直に容認できるかと言われると何とも微妙だなと感じていました。

と思っていたところ、ちょうどいいタイミングで、こんな話を目にしました。

花巻東高校野球部・佐々木洋監督の言葉です。

佐々木監督によるとベスト4までのチームの作り方とそこから上のレベルのチームの作り方は違うそうです。

ベスト4までのチームにおいて大切なのが「監督の指示を忠実にこなす実行力」です。

どのタイミングで盗塁させるか、スクイズさせるかなどは全て監督が指示を出し、選手はそれに100%忠実に従う。

もちろん実力があるのが大前提ですが、戦略・戦術実行の面において自己責任を一切認めなくてもベスト4までは行けるということになります。

しかし、それではベスト4よりも上には行けないと佐々木監督はおっしゃいます。

”相手が逆のことをしようと思っていますから、データ通りじゃなかったりします。

ベスト4より上は「監督、思ったよりこうです」と言ってくれるやつがいないと勝てないんです”

やはり監督は過去の経験やデータから最善の選択をしようと考えますが、実際にグラウンドで対峙する選手は「どうもデータ通りじゃないぞ」とか色々と感じるわけです。

そこで「監督、自己責任でやらせてください」と選手が言えるかどうかが、高いレベルの試合で勝てるかどうかの分かれ道ということではないでしょうか。

そこで佐々木監督は

「こっち見て野球をするな。オレの顔を見て何かやるのはダメだ」と指導しているそうです。

リーダーとしては自分が指示を出して、その通り上手く行けば「俺のお陰だ」という気持ちになりますが、リーダーが自分に酔っていては成長が望めない。

上を目指そうと思えば、あるレベルからヒントを与えながら、教え過ぎず選手に考えさせる余裕を持たせる。

そういう幅があり、器がある上司になれるかどうか。

それが高いレベルで勝てるチームになれるかどうかのカギになる。

 

この佐々木監督のお話しと前回の為末さんの意見を集約するとこんなことが言えるのではないかと思います。

〇自己責任を一定量、認めた方が組織にとって有益である

〇その前提として、まずはリーダーからの指示を忠実に実行できる力を備えている必要がある

〇リーダーの出す指示を100%正しいものとすることはできないが、精度を高めるためにもその土台となる基礎理論や原則をきちんと学んでおく必要がある(自己責任の話とは関係ありませんが、そのさらに大前提として)

〇リーダーはいつまでも表に立つのではなく、メンバーが成果を出せるように自己責任を容認できるように器を大きくする必要がある

 

それにしても菊池雄星や大谷翔平を育てた名将・佐々木監督は私と1歳しか違わないんですね。。。