昨年NHK・Eテレで放送されていた番組で毎回チェックしていたのが「芸人先生」です。

サンドウィッチマン、ナイツ、バイきんぐなどの一流お笑い芸人が自らの体験談を交えてビジネスの基礎を企業社員に伝授するというスタイルで毎回非常に勉強になりました。

テーマも営業、コミュニケーション、コンセプト創りなど多種多様で、笑いの要素も入れながら楽しく学べるというある意味「学びとエンターテイメントの融合」が実現した番組と言えます。

さらには別室で”カリスマ営業ウーマン”和田裕美さんがモニタリングしており、都度ビジネスの観点でのフォローをするという点でも見応えのあるものでした。

番組自体は終了しましたが、非常に良い内容でしたので、またどこかで復活して欲しいと思っている次第です。

で、今回ご紹介するのはその番組の内容が書籍化されたその名もズバリ『芸人先生』です。

この本は、番組では芸人さんのフォロー役的存在であった和田裕美さんが監修として番組では語り切れなかったビジネス的な解説が大幅増量されているのが特徴です。

芸人さんが番組で語っていた内容も要約していますが、そこはやはり活字よりも実際のしゃべくりの方が面白いので、この本はどちらかというと和田裕美さんの解説を学ぶものという位置付けかなと思います(再放送求む!)。

番組が芸人7:和田さん3だとしたら、本書はその比率が逆転して芸人3:和田さん7というイメージでしょうか。

さて、本書の中で和田さんが様々なビジネスの理論について語っているのですが、その中でも特に印象的だったのが「ズラしファイブ」というものです。

これは「時間・人・場所・方法・金額」の5つのいずれかを「定番商品」の軸からズラしてみると思わぬ新しいものが生まれるという考え方です。

時間をズラした「24時間営業の畳屋さん」が売上を7倍にした事例が紹介されていますが、これは普通の畳屋さんがオープンしている時間に店を閉められない飲食店のニーズを上手に汲んだ好例となります。

変えたのは営業時間だけなのに売上7倍ってすごいですよね。

もちろん簡単なことはマネされやすいので、もしかしたら今頃ライバルが増えているのかもしれませんが、それでもこうやってちょっとズラしてあげるという考え方は非常に大事ですね。

我々税理士業界のサービスも昔ながらの「なんとなくの定番」のようなものが存在します。

で、ズラす事例として「金額」を安くするという手法を取る同業者が増えていますが、そこには全く興味がないので、それ以外の要素で定番からちょっとズラすことで差別化を図りたいと思います。

できれば簡単にはマネできないものにしたいところです。

私と同じく番組を見ていたという方は本書も読んでみると色々とアイデアが浮かぶかもしれませんよ?