現在相続税・贈与税の納税義務がある人(納税義務者と言います)には「居住無制限納税義務者」「非居住無制限納税義務者」「制限納税義務者」の3種類が規定されています。

「居住無制限納税義務者」とは相続や贈与により財産をもらった人が日本に住んでいる場合にはその財産が日本国内にあるか国外にあるかに関係なく、その全ての財産が課税対象となる人になります。一番オーソドックスなパターンです。

「無制限」とあるのは財産の所在地が国内・国外関係なく、全てが課税対象となる、という意味です。

一つ飛ばして「制限納税義務者」とは財産をもらった人が日本に住んでいない場合には日本国内にある財産をもらった場合にのみ課税対象となる、というパターンで、国外にある財産については課税対象から除かれることになります。

次に「非居住無制限納税義務者」ですが、これは財産をもらった人が日本には住んでいないものの日本国籍を有している場合には「無制限」とあるので財産の所在地が国内・国外関係なく、全て課税対象となる、というパターンです。

ただし、これに該当するのはもらった人又はあげた人が相続や贈与の前5年以内に日本に住んでいる場合となります。

よって、例えばあげた人は普通に日本に住んでいる日本人で、もらった人が外国に住んでいるけどまだ日本国籍を持っている、というケースがこれに該当します。

ということはもらった人が外国に住んでいて、かつ、日本国籍も持っていないという場合には「制限納税義務者」に該当しますので、国内にある財産をもらった場合にのみ課税対象となる、ということになります。

ここまででも結構ややこしいとは思いますが、改正により、「もらった人が外国に住んでいて、かつ、日本国籍も持っていない」場合に国外にある財産をもらった場合にも課税対象となる、というように課税される人の範囲が拡大されることとなりました。

これにより今後は外国から日本に出稼ぎにきている人が母国にいる子供に母国にある財産を贈与した場合にも日本の贈与税が課される、という訳の分からない課税が行われることとなります。

というのもあげる人が日本に住んでいる場合には国籍は問わないからです。

それが今回の改正でもらう人の国籍も問わないこととなったことから、このような妙な話になってしまいました。

背景には子や孫に外国籍を取得させて国外財産の課税逃れを図る「租税回避行為」が増加しているからと言われていますが、上記の外国人から外国人への相続・贈与のケースだと、国際的な二重課税問題が生じてしまいます。

この辺のところをしっかりとケアしているのかどうか甚だ疑問で、今後様々な問題が生じる恐れのある改正と言えるでしょう。