今回で小規模宅地等の特例シリーズも最後となります。

今回は「居住用・事業用宅地の適用対象面積の拡充」について解説します。

まず「居住用宅地等」というのは過去3回に渡って解説してきた居住用の宅地となります。それに対して「事業用宅地等」というのは個人事業者が事業用に使っていた宅地となります。

以前ご説明した通り、被相続人が生活や事業の拠点としてた宅地について路線価方式や倍率方式で評価した金額で相続税を計算されてしまうと、場合によっては相続税を納税するために泣く泣くその宅地を売却することになってしまいますが、そうすると住む場所に困りますし、事業という収入を得る手段を失うことにもなりますから、由々しき事態です。

そのため、相続税ではこれらの宅地については本来の評価額から80%減額することを認めています。ただし面積制限があり、居住用宅地等については240㎡(改正により330㎡になります)、事業用宅地等については400㎡までとなります。

ただし、自宅と事務所や店舗などが別々にあるケース、すなわち居住用宅地等と事業用宅地等の両方がある場合には、それぞれ240㎡、400㎡まで受けられる訳ではなく、ちょっと特殊な計算式で算出した面積までしか適用が受けられませんでした。

若干難しい考え方ですが軽く説明してみたいと思います。

仮に居住用宅地等が180㎡、事業用宅地等が400㎡で、居住用宅地等から優先して特例の適用を受けた方が有利だとします。

この場合居住用宅地等で使う枠が180㎡/240㎡=75%となります。

そうすると事業用宅地等で使える枠は400㎡のうちの25%(100%-75%という計算)である100㎡だけということになります。

ちょっと難しいので何となくご理解いただければOKです。

さて、ここからが改正の内容ですが、早い話が上記の面倒臭い計算が不要になりました。

小規模宅地等の特例の適用を受ける宅地が全て居住用宅地等と事業用宅地等である場合には居住用宅地等で330㎡までの枠、事業用宅地等で400㎡までの枠が認められることになりました。

上記の例で言えば居住用宅地等で180㎡、事業用宅地等で400㎡、それぞれ小規模宅地等の特例の適用を受けることが可能となります。

なお、注意点として事業用宅地等に定義する「事業」には不動産貸付業は含まれません。

不動産貸付業の場合には「貸付事業用宅地等」に該当し、減額割合は80%ではなく50%、限度面積は200㎡となります。

また、貸付事業用宅地等と他の宅地で併用して適用を受ける場合には事例のような調整計算が必要となります。