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「調査」と「行政指導」

 

「調査」と「行政指導」

  2013/07/31

税務調査が入ったことにより修正申告をしなければならなくなった場合には最初に申告した税額との差額分を納税しなければなりませんが、それに合わせて過少申告加算税や重加算税などのペナルティも納税する必要があります。

では、申告書の計算が単純な電卓ミスで間違っており、申告書を提出した直後に税務署から「計算が間違っているので修正申告書を提出して下さい」と言われた場合もやはりペナルティを納税する必要があるのでしょうか?

これに関して国税庁ホームページ「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」に記載があります。

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Q.税務署の担当者から電話で申告書の内容に問題がないか確認して、必要ならば修正申告書を提出するよう連絡を受けましたが、これは調査なのでしょうか。

A.調査は、特定の納税者の方の課税標準等又は税額等を認定する目的で、質問検査等を行い申告内容を確認するものですが、税務当局では、税務調査の他に、行政指導の一環として、例えば、提出された申告書に計算誤り、転記誤り、記載漏れ及び法令の適用誤り等の誤りがあるのではないかと思われる場合に、納税者の方に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書の自発的な提出を要請する場合があります。このような行政指導に基づき、納税者の方が自主的に修正申告書を提出された場合には、延滞税は納付していただく場合がありますが、過少申告加算税は賦課されません(当初申告が期限後申告の場合は、無申告加算税が原則5%賦課されます。)。
なお、税務署の担当者は、納税者の方に調査又は行政指導を行う際には、具体的な手続に入る前に、いずれに当たるのかを納税者の方に明示することとしています。

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このように単なる計算誤りを税務署から指摘されて修正申告書を提出した場合には「調査」ではなく「行政指導」となるのでペナルティは発生しない、ということになります。

しかし、実は今までは実務上こういったケースでもペナルティを課されるということが発生していたようです。

納税者も顧問税理士も「計算誤りは事実だから仕方がないか」と特に疑問を抱かずに素直に応じるケースが多かったようですが、本来であれば払う必要のないものでした。

もしもこのようなケースに遭遇した際にはFAQにもあるように必ず「これは調査ですか?それとも行政指導ですか?」と確認するようにして下さい。

「行政指導です」と言われたら「でしたら過少申告加算税は発生しませんよね?」と念を入れておけば完璧です。

 

平成25年度税制改正「相続税・その他の改正」

  2013/07/30

今年の税制改正では相続税・贈与税について最高税率の引き上げや基礎控除の縮小などインパクトのある項目が盛り沢山でしたが、今回は今まで解説してこなかったものをまとめてご紹介したいと思います。

①未成年者控除の見直し

 未成年者控除とは相続人が法定相続人で20歳未満の場合に適用を受けることができる税額控除で、従来は「6万円×20歳に達するまでの年数」が控除額でしたが、これが改正により「10万円×20歳に達するまでの年数」に金額が増えました。

 

②障害者控除の見直し

 障碍者控除とは相続人が法定相続人で障害者や特別障害者に該当する場合に適用を受けることができる税額控除で、従来は「6万円(特別障害者は12万円)×85歳に達するまでの年数」が控除額でしたが、これが改正により「10万円(特別障害者は20万円)×85歳に達するまでの年数」に金額が増えました。

 

 未成年者も障害者も被相続人の法定相続人という本来なら被相続人がある程度面倒を見なければならない存在であるのであれば、相続税の課税についてはある程度の配慮をしましょう、という趣旨により規定されているものですが、今回の改正により基礎控除額が縮小され、従来であれば課税されなかったケースが今後は課税される可能性があるということで、その課税ベースの拡大に対応する形での納税者有利な改正です。

これにより相続税が発生して相続人の何人かは納税しなければならなくなるかもしれませんが、未成年者や障害者はこれらの規定により納税額が0円になる、というケースも増えるのかもしれません。

ちなみに平成23年度の税制改正大綱では死亡保険金の非課税金額について「相続人の生活安定という制度趣旨の徹底の必要性や他の金融商品との間の課税の中立性確保の要請」という理由で非課税枠の縮小(厳密には適用を受けることができる相続人の範囲の縮小)の見直しが検討されていましたが、結局見送られ、今回の改正でも完全にスルーされております。

正確に言えば金融庁が税制改正の要望として非課税枠の拡大を主張したので、その主張を完全に無視して縮小するのは難しかったのではないかと推察されます。

過去生命保険は相続税法上かなり優遇されており、節税商品としての存在意義がありましたが、近年の改正で節税商品としての「うまみ」がなくなっておりますので、この死亡保険金の非課税枠の死守、又はあわよくば拡大というのは各生保会社にとっては非常に大事なテーマですね。

 

平成25年度税制改正「相続税・贈与税の納税義務範囲の拡大」

  2013/07/30

現在相続税・贈与税の納税義務がある人(納税義務者と言います)には「居住無制限納税義務者」「非居住無制限納税義務者」「制限納税義務者」の3種類が規定されています。

「居住無制限納税義務者」とは相続や贈与により財産をもらった人が日本に住んでいる場合にはその財産が日本国内にあるか国外にあるかに関係なく、その全ての財産が課税対象となる人になります。一番オーソドックスなパターンです。

「無制限」とあるのは財産の所在地が国内・国外関係なく、全てが課税対象となる、という意味です。

一つ飛ばして「制限納税義務者」とは財産をもらった人が日本に住んでいない場合には日本国内にある財産をもらった場合にのみ課税対象となる、というパターンで、国外にある財産については課税対象から除かれることになります。

次に「非居住無制限納税義務者」ですが、これは財産をもらった人が日本には住んでいないものの日本国籍を有している場合には「無制限」とあるので財産の所在地が国内・国外関係なく、全て課税対象となる、というパターンです。

ただし、これに該当するのはもらった人又はあげた人が相続や贈与の前5年以内に日本に住んでいる場合となります。

よって、例えばあげた人は普通に日本に住んでいる日本人で、もらった人が外国に住んでいるけどまだ日本国籍を持っている、というケースがこれに該当します。

ということはもらった人が外国に住んでいて、かつ、日本国籍も持っていないという場合には「制限納税義務者」に該当しますので、国内にある財産をもらった場合にのみ課税対象となる、ということになります。

ここまででも結構ややこしいとは思いますが、改正により、「もらった人が外国に住んでいて、かつ、日本国籍も持っていない」場合に国外にある財産をもらった場合にも課税対象となる、というように課税される人の範囲が拡大されることとなりました。

これにより今後は外国から日本に出稼ぎにきている人が母国にいる子供に母国にある財産を贈与した場合にも日本の贈与税が課される、という訳の分からない課税が行われることとなります。

というのもあげる人が日本に住んでいる場合には国籍は問わないからです。

それが今回の改正でもらう人の国籍も問わないこととなったことから、このような妙な話になってしまいました。

背景には子や孫に外国籍を取得させて国外財産の課税逃れを図る「租税回避行為」が増加しているからと言われていますが、上記の外国人から外国人への相続・贈与のケースだと、国際的な二重課税問題が生じてしまいます。

この辺のところをしっかりとケアしているのかどうか甚だ疑問で、今後様々な問題が生じる恐れのある改正と言えるでしょう。

 

平成25年度税制改正「小規模宅地等の特例の見直し④」

  2013/07/30

今回で小規模宅地等の特例シリーズも最後となります。

今回は「居住用・事業用宅地の適用対象面積の拡充」について解説します。

まず「居住用宅地等」というのは過去3回に渡って解説してきた居住用の宅地となります。それに対して「事業用宅地等」というのは個人事業者が事業用に使っていた宅地となります。

以前ご説明した通り、被相続人が生活や事業の拠点としてた宅地について路線価方式や倍率方式で評価した金額で相続税を計算されてしまうと、場合によっては相続税を納税するために泣く泣くその宅地を売却することになってしまいますが、そうすると住む場所に困りますし、事業という収入を得る手段を失うことにもなりますから、由々しき事態です。

そのため、相続税ではこれらの宅地については本来の評価額から80%減額することを認めています。ただし面積制限があり、居住用宅地等については240㎡(改正により330㎡になります)、事業用宅地等については400㎡までとなります。

ただし、自宅と事務所や店舗などが別々にあるケース、すなわち居住用宅地等と事業用宅地等の両方がある場合には、それぞれ240㎡、400㎡まで受けられる訳ではなく、ちょっと特殊な計算式で算出した面積までしか適用が受けられませんでした。

若干難しい考え方ですが軽く説明してみたいと思います。

仮に居住用宅地等が180㎡、事業用宅地等が400㎡で、居住用宅地等から優先して特例の適用を受けた方が有利だとします。

この場合居住用宅地等で使う枠が180㎡/240㎡=75%となります。

そうすると事業用宅地等で使える枠は400㎡のうちの25%(100%-75%という計算)である100㎡だけということになります。

ちょっと難しいので何となくご理解いただければOKです。

さて、ここからが改正の内容ですが、早い話が上記の面倒臭い計算が不要になりました。

小規模宅地等の特例の適用を受ける宅地が全て居住用宅地等と事業用宅地等である場合には居住用宅地等で330㎡までの枠、事業用宅地等で400㎡までの枠が認められることになりました。

上記の例で言えば居住用宅地等で180㎡、事業用宅地等で400㎡、それぞれ小規模宅地等の特例の適用を受けることが可能となります。

なお、注意点として事業用宅地等に定義する「事業」には不動産貸付業は含まれません。

不動産貸付業の場合には「貸付事業用宅地等」に該当し、減額割合は80%ではなく50%、限度面積は200㎡となります。

また、貸付事業用宅地等と他の宅地で併用して適用を受ける場合には事例のような調整計算が必要となります。

 

平成25年度税制改正「小規模宅地等の特例の見直し③」

  2013/07/30

今回は小規模宅地等の特例の中でも従来扱いが微妙であった老人ホーム入所者に係るものについて解説します。

高齢になり心身上の関係からやむを得ず老人ホーム等に入所するということは珍しくありませんが、そのように老人ホーム等に入所している状態で亡くなられた場合に、もともと住んでいた自宅が小規模宅地等の特例の対象となるのかが問題となります。

一般的には老人ホームへの入所=生活の拠点の移転、とみなされもともと住んでいた自宅は亡くなるタイミングでは住んでいないと考えられますから小規模宅地等の特例の適用を受けることはできない、とされていました。

ただし、国税庁の質疑応答事例では介護のためのやむを得ないもので、本人が自宅での生活を望んでいるので、いつでも戻れるように維持管理されているなどの一定の要件を満たしていれば適用を受けても差支えない、としていました。「差支えない」というのも微妙な表現ですが、質疑応答事例は「法令」ではないので、このような表現になります。

そして一定の要件とは以下のものとなります。

(1) 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること。

(2) 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと。

(3) 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと。

(4) その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと。

ここでやっかいなのが(4)で終身利用権が取得されるとダメ、ということで「じゃあ入居一時金を支払うとダメなのか?」という点が結構揉める部分でありました。

それが今回の改正により、要件が以下の2つになりました。

(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること

(2)当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと

「終身利用権の有無」はどこにも記載されていませんので、その点は今後考えなくても良くなったと言えるでしょう。

ただし(2)にある通り、不在時に第三者に貸してしまうと要件を満たせなくなりますので、注意が必要です。

先に記載した通り国税庁HPの質疑応答事例は「法令」ではないので、これが課税の根拠になることがあってはならないのですが、老人ホームの取扱いについてきちんと法令に記載されておらず、この質疑応答事例が判断根拠になっているという状況でした。

それを今回の改正で法整備したという点には大きな意義があると言えるでしょう。

 

平成25年度税制改正「小規模宅地等の特例の見直し②」

  2013/07/30

前回に引き続き小規模宅地等の特例の見直しの一つである「二世帯住宅における特例の適用対象」について解説します。

今や二世帯住宅というのは珍しくも何ともない、親子が程よい距離感で生活するための住宅形態の一つとして定着した感があります。

さて、前回の「特定居住用宅地等」の解説の中で、「被相続人が所有し、居住していた住宅用の宅地を相続人が引き継ぎ、そのまま継続して住み続ける場合」に小規模宅地等の特例の適用を受けられると記載しました。

ところで二世帯住宅には以下のような形態があります。

①二世帯住宅の内部で双方の世帯がお互いに行き来できる構造

②二世帯住宅の内部で双方の世帯がお互いに行き来できない構造

このうち①はその実態としては「同居」しているということになりますから被相続人名義の土地・建物だったとして、同居していた相続人が相続で取得し、そのまま住み続ければ小規模宅地等の特例を受けることができます。

問題は②で、これは例えば一棟の建物でも完全に各々独立しており、一旦玄関を出なければ行き来できないような状態となりますので「別居」していることになります。

そうすると相続人は既に自分の家を持っていることになりますので、相続で取得してもその後住み続けるということができなくなり、小規模宅地等の特例の対象外ということになってしまいます。

従来このような構造の場合には相続人が取得した後にもともと住んでいたスペースと合わせて居住用として利用したとしても特殊な事例を除いては特例を受けられずにいました。

それが今回の改正により、このようなケースの場合には小規模宅地等の特例の適用が受けられるようになりました。

最近の風潮ではお互いの生活にあまり干渉しないようにお互いに行き来できない構造の二世帯住宅の方が一般的かと思われますので、そのような実情に即した改正と言えます。

ただし、小規模宅地等の特例の適用要件の一つに「申告期限まで引き続き居住していること」というものがありますので、相続で取得した後すぐに第三者に賃貸したりすると要件を満たさないことになってしまいます。この点注意が必要です。

 

平成25年度税制改正「小規模宅地等の特例の見直し①」

  2013/07/30

相続税は財産に対して課税するというシステムですので、財産が土地や建物などの不動産ばかりだったりすると納税資金を用立てるためにその不動産を売却することも必要となります。

しかし、特にその不動産が自宅や事業を行っている店舗だったりすると生活や事業の拠点を手放してしまうことになり、支障を来してしまいます。

そこで相続税ではこのような住宅用の宅地や事業用の宅地など一定の要件を満たすものを「小規模宅地等」と規定し、評価額を引き下げることができるようにしています(対象は土地のみで建物は対象となりません)。

 

今回はその中でも住宅用の宅地について解説したいと思います。

オーソドックスなケースですと被相続人が所有し、居住していた住宅用の宅地を相続人が引き継ぎ、そのまま継続して住み続ける場合には「特定居住用宅地等」と言って、路線価方式や倍率方式などによって算出した評価額から80%減額することが可能となります。

ただし面積制限があり、改正前までは最大240㎡でした。

これが今回の改正により最大330㎡に引き上げられました。

 

これは納税者に有利に働く改正ですが、背景として今回の改正で基礎控除額を引き下げたことにより、相続税の課税対象となる人は一気に増えると思いますが、それによりマイホームを手放すことになる事態を防ごうという配慮があると考えられます。

 

さて、このように相続税には評価額を減額する規定や配偶者が財産を取得した場合に税額が軽減される規定などが色々とありますので、それらの規定を適用した結果、結局税額が発生しない、ということも考えられます。

しかし、これらの規定は「申告をしないと適用を受けられない」というものですので、納税額が0円でも相続税の申告が必須となります。

もしも申告期限までに申告をしないと、この特例の適用を受けられず、結果として納税義務が発生してしまいますので、十分にご注意下さい。

 

生前贈与の注意点

  2013/07/30

相続税・贈与税について特に勘違いが多いのが「贈与税の申告をして贈与税を納めれば贈与は成立した」というものです。

相続対策の一つとして「生前贈与」というのは有効な手段ですが、「贈与」という形を取ってはいるものの相変わらず贈与した人が財産を管理しているなど実質的には財産の移転があったとは認められない場合には、後で相続税の申告について税務調査があった際に「これは贈与とは認められないので相続財産に加算して修正申告してください」と言われてしまいます。

特に現預金を子や孫に贈与する場合には「相続税を減らしたい」という思いと「でも贈与したそばから浪費されるのは嫌だ」という思いがあいまって、贈与した後も通帳を管理するということもあると思いますが、これだともらった人が自由に使える状況にないため、贈与したとは認められなくなります。

そこで「贈与したという事実」を作るために「贈与税の申告をして贈与税を納めれば贈与は成立した」という考えに至る訳です。

御存知の通り、いわゆる「暦年課税贈与」の場合年間110万円までの贈与であれば贈与税は発生しませんし、わざわざ申告書を提出する必要もありません。

逆に言うと110万円を超えて贈与をすれば贈与税の申告・納税が発生しますので、例えば111万円を贈与してほんのわずかな贈与税を納めて申告書を提出すれば「贈与税の申告書を提出した」という証拠を残すことができます。

 

「贈与税の申告書を提出して贈与税も納めているんだから、贈与した財産を自分(贈与した人)が管理し続けたとしても後で認められない、ということにはならないだろう。」

その考えは間違いで、申告書の提出・贈与税の納付というのは贈与をしたという証拠の1つに過ぎません。

その他の状況証拠が実質的には贈与行為が成立したとは言えないということを物語っているようであれば贈与税の申告・納付をしていようが「贈与行為自体」が否認され相続財産として認定されてしまうのです。

相続対策として何年もかけて財産の移転をしてきたはずが実は1円も移転できていなかった、という笑えない話ですが、実はこのようなケースは非常に多いのです。

 

相続対策を行うということは動産・不動産などの財産を動かすということになりますから、相続税、贈与税、また場合によっては所得税など様々な税金が関係してきます。

また、上記のように「本人は相続対策と思って行っていたこと」が実は全く相続対策になっていなかった、ということも大いにあり得ますので、ネットや本で調べて自分でやろうとするのではなく、必ず専門家、しかも、きちんと相続税に強い専門家に相談するようにしましょう。